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不思議なブランクの所以

武石さんのピーコックバス用ロッドのテストについて、私、肝心な事を書くのを忘れていました。

「不思議なブランク」と評価を頂いた理由は、単にジョイクロが今まで以上に飛ぶから、ではありません。2オンス超のスイムベイトが今まで以上飛ぶにも関わらず、同時に1/4オンス程度の軽いルアーも気持ち良くコントロールして投げる事が出来るからなのです。

強い竿と言うと、多くの人は、イコール硬い竿をイメージされる事と思います。でも、硬い竿だと軽いルアーは、上手く、少なくとも気持ち良くは投げられません。なぜなら、ブランクにウェイトが乗らないから曲がらない、曲がらないから飛ばない、そして、曲がらないからコントロールも効かない。

MB668のような強いブランクだけでなく、ノース・フォーク・コンポジットのブランクには、強さの中にしなやかさがある。それをキャスティングを通して感じ、その感覚を皆さん「不思議」と言うのです。少々、お時間を頂く事になるかと思いますが、この「不思議」な感覚をより多くの皆様に体感頂けるよう、順次、環境を整備して行きたいと思います。
by bluepeaks | 2011-04-26 13:24 | ブランク

プログレッシブ・テーパー

今日は、年間チャンプにも輝くシーバスのトーナメンターの話です。

ボートシーバスの世界でも、延々と続くブレイクのショルダー部を効率良く探っていくため、ミノーやバイブレーションだけでなく、シンキング・シャッドを使います。でもなぜ、シャッドなのか?理由は2つあります。ブレイクのショルダー部をかすめる様にリトリーブするため、まず、深度を稼ぐ必要があること、そして、ブレイクの下に居るニュートラルな状態のシーバスにスイッチを入れるため、トゥイッチが必要。だからシャッドなのです。まるで、一頃のサスペンド・シャッドを使ったバス・フィッシングのようですが、こうした釣りも織り交ぜて展開しないと、やはり上位は狙えないのだそうです。

魚は、ブレイクの下から、ほぼ垂直に現れ、バイトと同時に反転し、そして、真下に向って走ります。この魚を確実に獲っていくためには、リールのドラグ性能だけでなく、魚が走った分だけ負荷を吸収するプログレッシブなテーパー(負荷に対する追従性)が必要となります。そこで、ノース・フォーク・コンポジットのカスタム・ブランクをご検討頂いた次第です。

現在お使いのロッドを見せて頂いたところ、一見、バットは強そうに見えるものの、それは単にテーパーを緩くしただけの、極端に言えば筒状のような形状。トイレット・ペーパーの芯を想像してみて下さい。薄く、柔らかな素材(つまり紙)であっても、形をストレートの筒状にすれば、一定の「剛性」が出ます。この「剛性」をパワーと感じてしまうのです。

こうしたストレートな筒状のバットに、ティップを継ぎ足したような極端なテーパーのブランクは、一定以上の負荷がかかった時、ベンドがある一点でピタリと止まり、負荷がかかっても、もうそれ以上曲がらないブランクとなります。大きな魚が掛かった時は、ドラグで時間を掛けて、ランディングするしかなくなります。でも、そこはトーナメント。掛けた魚は早くランディングしたい。しかも、フラットの魚は、移動が早いので、出来るだけ早く次のキャストに入りたい。だからこそトーナメンターもテーパーにこだわるのです。

テーパーが綺麗であるか否か、これを簡単に見極める方法があります。それは写真のようにブランクを指先で摘み、滑らせてみることです。

a0183304_23233157.jpg


テーパーの綺麗なブランクには、総じて大きな段差がありません。このため、指先をスムースに滑らせることが出来ます。慣れてくると、何処がカーボン・ペーパーの巻き始めなのか、そんなこともわかるようになります。ガイドが付いたロッドだとちょっとわかりにくいですが、機会があれば、是非、一度、試してみてください。
by bluepeaks | 2011-04-23 23:42 | ブランク

既にテスト中だそうです

本日(2011/04/21)のエントリーについて訂正があります。

怪魚ハンターこと、武石憲貴さんのピーコック・バス用ロッドが岸波北店のBomber Factoryさんの常設出張工房に展示中、と本日記載しましたが、このロッド、既に秋田の武石さんの手元で、テストされているとのことです。申し訳ありません。予定が前倒しになったようです。というか、テストしたくウズウズしてたみたいです。

その武石さん、まずは、キャスタビリティを確認するため、ジョイクロを投げてみたそうです。その印象は、「不思議なロッド」。なぜなら、今まで使っていたロッドと比べて、より少ない力で、より遠くに投げられるから。今までに経験したことがない感覚・・・だそうです。

続いて、バットパワーを確認するため、鯉を釣ってみたそうです。その印象は、「当たり前だけど、70cmの程度の鯉じゃ、テストにならない」だそうです。この辺の感覚がさすがにハンターです。

今回採用頂いたブランクは、MB668-1(SM)。このブランク、恐らくノース・フォーク・コンポジットの工場から出荷された数あるブランクの中でも、これからの数年、最も過酷な条件で、酷使されるブランクとなることでしょう。それこそ望むところです。頑張れMB668!
by bluepeaks | 2011-04-21 23:44 | パートナー

福島からの嬉しいお知らせ

ノース・フォーク・コンポジットのカスタム・ブランク・パートナーの一つに福島県のBomber Factoryさんがあります。震災の直後は、電話もメールも通じず、安否確認さえままならない状態でしたが、何とか切り抜けられた様子。今も余震が続く中ではありますが、少しずつ平静を取り戻し、ビルディング(仕事)を再会されたようです。本当に良かったです。先日、電話した時も「今、お客さんと阿武隈でテスト中ですわ!」と。

そんなBomber Factoryさんが震災後に仕上げた第一弾がコレ

毎日放送系列各局で放送されている「情熱大陸」でも取り上げられた怪魚ハンターこと、武石憲貴さんのピーコック・バス用ロッド。ブランクは、North Fork Composites MB668-1。これを、海外遠征用に着脱式のグリップで仕立て上げています。飛行機に載せることや、現地での移動を考えると、「グリップ着脱式」はマストなんだとか。しかも、このロッド、フィールドや、その時使うルアーに応じてレンクスを微妙に調整出来る工夫も施されているんだとか。

パワーとトルク、機能とモビリティが融合したターゲットに特化したカスタムロッド。格好良過ぎです!

今なら、Bomber Factoryさんの常設出張工房がある岸波北店にて展示中です。

Bomber Factoryさんのこうした仕事っぷりを見ているとワクワクしてきます。
復興に向け、皆さん、しっかりと前を向いて歩み出しています。
力を合わせて頑張りましょう!
by bluepeaks | 2011-04-21 10:00 | パートナー

隠れた名脇役

さて、2011年4月15日のエントリー「焼きを入れる」で触れたカーボン・ロッドの製造に欠かせない名脇役「セロファン」について取り上げたいと思います。

セロファンと言えば、石油を使った樹脂製品の一つ。であるが故に、加熱すると溶けて無くなる・・・と思われている方が殆どだと思います。この認識、決して間違いではありません(実は私もその一人でした)。ただ、溶けてなくなる前に「縮む」というステージがそこにはあるのです。これが肝なんです。丁度、熱圧縮テープみたいなものです。ライターであぶったり、ドライヤーの熱風を当てたりすると、「キュー」っと縮むアレです。

加熱により膨張しようとするカーボンを、加熱により収縮しようとするセロファンで覆う、その状態でオーブンに入れる。内側のカーボンは、外側に向って膨張し、逆に、外側のセロファンは、内側に向って縮む。すると、そこに新たな圧力が生まれる。この結果、分子間の距離が縮まり、再結合し、ペラペラだったカーボンの紙が、復元性のあるブランクに変質するのです。

凄くないですか!このプロセスといい、この考え方といい。
全然タイプの違う二人が力を合わせることで、かつてない成果を上げてしまうような・・・。何かを根本から変えるには、やはりこういう真逆のコンビネーションが必要なんでしょう。

この相反する膨張と収縮のせめぎ合いの結果は、実は、皆さんも良くご存知の形となってブランクに残っていたりします。それがこれ(↓)です。

a0183304_1230247.jpg


いわゆる「アンサンド・フィニッシュ」です。このブランクに残る凸凹、これが縮もうとするセロファンの間に、無理やり入り込んだカーボンの名残なんです。決してテープ状のカーボンペーパーをマンドレルにグルグルと巻いた時の段差ではありません。

ローリング・マシンも一つですが、こうやってブランク製造のプロセスを掘り下げていくと、圧力のコントロールこそがブランク作りの肝であることがわかって頂けるかと思います。
by bluepeaks | 2011-04-20 12:53 | ブランク

早くもネタ切れか!

・・・という訳ではなく、木崎湖での試投会の終了後、営業および打ち合わせのため、出張しておりました。そんな中、昨年、ふとしたキッカケで出会った「開発クランク」の製作者、開発学(かいはつまなぶ)さん宅を訪問。納期が迫りに迫った中での電撃訪問にも関わらず温かく迎えて頂きました。歳も近く、自宅も近く(実家)、通っていたフィールドも同じ開発さん。そんな開発さんが自身の経験をベースに一つ一つ手作りで作っているルアーがその名も「開発クランク」。バルサならではの浮力を活かした、プリプリと動く、速弾きにも対応するフラットサイド・クランクです。

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そんな開発さんから頂いた
Jカスタム 1.0
のインプレッションのうち、印象に残った言葉は「テーパーの綺麗な曲がる強い竿」。そうなんです、ノース・フォーク・コンポジットのロッドは、曲がる強い竿なのです。実は、これ、各地のプロショップの方々から頂く感想と同じなんです。
by bluepeaks | 2011-04-19 16:36

焼きを入れる!

何だか昭和的な怖さが漂うタイトルですが、今回も知られているようで、知られていないブランクの製造プロセスに関する話です。

2011年4月17日のエントリー「ローリングマシン」に記載した製造工程の中に、「4.釜に入れて焼く」というプロセスがあります。「釜」と聞くと、普通は、陶磁器を焼くような「釜」をイメージされることと思いますが、ブランクの製造で使う「釜」は、言ってみれば縦長の巨大な「オーブン・トースター」みたいなものです。ちょうどこんな感じ(↓)で、下にウェイトを付けて、ティップを上に、吊り下げた状態で、トースターで「チーン」するのです。

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ではなぜ「焼きを入れる」のかと言えば、ペラペラとしたまさに紙状のカーボン・ペーパーを、復元性のある竿に変質させるためです。

カーボンという素材には、加熱により、膨張し、再結合する特性があります。この特性を利用して、復元性のあるカーボン・ロッドに仕立ていく訳ですが、この過程にはもう一つ欠かせない脇役が必要となります。セロファンです。え?と思われるかも知れませんが、一見すると加熱により溶けてなくなってしまいそうなセロファン。こいつが凄い仕事をするのです。

このセロファンの働きについては、次回以降、説明したいと思います。

おっと、その前に。
「結合」は、英語で"composite"と言います。そうです、だから、ノース・フォーク・コンポジットなのです。
by bluepeaks | 2011-04-15 10:21 | ブランク

マンドレル

ブランクを作るために欠かせないマンドレル(mandrel)。辞書によれば心棒とか、芯金とされています。これ、日本語になっても今ひとつぱっと頭に浮かぶものではないですね。そこで、実物をご覧頂きたいと思います。

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このラックに立てかけてあるおびただしい数の金属の棒が「マンドレル」と呼ばれている「芯」です。この写真は、昨年、ノース・フォーク・コンポジット社の工場で撮影したものですが、こんな感じで、工場の壁に沿って、ズラーっとマンドレルが並んでいるのです。圧倒されます。

このそれぞれのマンドレルに、品番が付いていて、例えばMB674用のマンドレル、という具合に管理されているのです。さらに、個々のマンドレルに対して、カーボン・ペーパーのカッティング・パターンが決まっていています。Gary自らが1本、1本、要求仕様に合わせて、マンドレル、マテリアル、カッティング・パターンの組み合わせの中からブランクをデザインして行くのです。

このようにブランク作りというものは、皆さんが思っているよりもずっと職人的な世界で作られているものなのです。マンドレル、マテリアル、カッティング・パターン、さらには、プロダクション・プロセスまで、最高の組み合わせを見つけ出す作業を40年間、自ら釣りをしながら煮詰めてきたのがGary Loomisなのです。

因みに、場所が場所なので、「使える」情報とは言えませんが、ノース・フォーク・コンポジットの工場は誰でも見学することが出来ます。勿論、先のローリング・マシンなど、プロダクション・プロセスの全てを見ることは出来ませんが、この膨大な数のマンドレルついては、どなたでも見ることが出来ます。
by bluepeaks | 2011-04-14 23:40 | ブランク

アメリカ的なおおらかさ?

ノーマンのDD22、マンズの30+、ルーハー・ジャンセンのホットリップス・エクスプレスなど、アメリカンブランドのディープダイバーは、スペック値以上に潜ると言われています。誰も正確には測っていないと思うので、魚探の深度と照らし合わせた経験値だと思うのですが、あながち間違いではないと思います。なんと言ってもあのブリブリを数時間引き続けければ、翌日は決まって筋肉痛になるので、そもそも、その位、潜って貰わないと納得も行かないのです(本当の理由は想定するラインの太さの違いなんでしょうけど)。

これと同じようにアメリカン・ロッドの多くは、表示ウェイト以上のパワーを持っているものが殆だと思います。事実、指定ウェイト以上のルアーであっても問題なく扱える竿が殆どです。逆に、いつも以上に竿が曲がるので、より快適に感じたりするものです。最初は、それこそアメリカ人はスペック値など気にせず、感覚的にルアーを選ぶから制限を加える意味で、意識的に控え目に表示している、と考えていました。この認識、決して誤りではないと思います。しかし、これが全てではありません。身長190cm超える日本で言えば大男がムチのようにしならせてキャストし、上半身を仰け反らせてフッキングする、そりゃロッドにかかる負荷が全然違います。

こんな使われた方が一般的であるため、多くの日本人にとっては、どうしたって表示ウェイト以上のパワーを感じるはずです。スペックに対するおおらかさもありますが、それだけではありません。想定している体格の違い、フィールドの違いなのだと思います。

このように考えると、キャスティングを軸とするゲーム・フィッシングの場合、道具としての機能を追い求めるのであれば、ゴルフクラブのように、個人の体格や技量を中心に据え、カスタムで作り上げていく方がより良いものに早く出会えるはず、と思うのです。
by bluepeaks | 2011-04-12 11:45 | ブランク

ブランクか?ブランクスか?

「ブランク」と呼ばれたり、「ブランクス」と呼ばれたりしています。だいたい使い分けはされておらず、「ブランク」派か「ブランクス」派に固定的に別れています。年代による偏りもあんまりないような気がします。

で、どっちが正しいのか?という話になるのですが、特にコレというブランクを指さない場合、英語的に正しいのは"blanks"です。でも、日本人が使う多くのカタカナ英語に沿えば間違いなく「ブランク」です。

今や「ポテト」としか言われない「フレンチフライ」。あれだって、英語で注文する時は"French Fries"が正しいのです。でも日本じゃ誰も「フレンチフライズ」なんて言いません。

始めて「ブランクス」という言葉を目にしたのは、遥か昔のこと。当時あった釣り雑誌「フィッシング」の中だったように思います。今、こうして思うのは、きっとその記事を書いたライターさんは、より英語に忠実に訳そうとしたのではないのか、ということ。何故なら、辞書を見ても"blank" =「 空っぽ」としか書かれていなかったはずで、「空っぽ」としたのでは読者も?連発のはず。なので、読みをそのままカタカナにし、「ブランクス」と。で、これが世代を超えて、脈々と使われ続けているのでは、と思うのです。

"North Fork Composites"も音に忠実にカタカナ化すると「ノース・フォーク・コンポジッツ」となるのです。でも、やっぱりこれじゃ、落ち着かないんです。「ノース・フォーク・コンポジット」です!
by bluepeaks | 2011-04-10 10:59